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Buontempo~!

ブログ名はイタリア語で「気ままな暮らし」 テキト~に更新しま~す^^

『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』 DAVID BOWIE 






ずはこのジャケット写真を見て欲しい。当時ボウイがロンドンの街中で着て歩き評判になった”man’s dress”を纏い、ブルー・ヴェルヴェットのソファー物憂げな表情で横たわる姿を写したもの。これは1971年4月に本国イギリスでリリースされた際のジャケットだ。

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そしてもう一方の写真は猟銃のようなものを持った男(ヒューストン・カウボーイ)が何やら喋っているのだがフキダシ部分が何故か空白である。このジャケットは本国より5ヵ月早い1970年11月にアメリカでリリースされた本作のジャケットなのだが、使われているキャラは当時、精神病院に入院していた兄のテリーを重ね合わせたものでフキダシにはドラック関連のセリフが記載され、それがテリーの精神状態を表しているセリフだったそうだ。そんな身内の状況に皮肉を込めて表現したこのジャケットを使用してリリースしようとしたが、さすがにボウイも良心の呵責を覚えたようでジャケットの変更を求めたものの間に合わずアメリカではセリフが入ったままリリースされたという、いわくつきのジャケットである。その他にもドイツ盤では円形の特殊ジャケットでリリースされたものがあるなど、数種のジャケットが存在するというボウイの作品の中でもコレクター垂涎の1枚だ。

ウンド面で見ると前作『スペイス・オディテイ』より引き続きプロデューサーにトニー・ヴィスコンティを起用したのだが、サウンドはフォーク・ロック的なものからエレクトリック路線へと変換した。これはティラノザウルス・レックスのマーク・ボランがT・レックスと改名し、アコーステックからエレクトリックへ変遷したことと無関係ではない。70年1月にボウイがリリースしたシングル【プリティエスト・スター】でのセッションではトニー・ヴィスコンティ(b)と共にマーク・ボランがリード・ギターとして参加している。この豪華な共演はトニー・ヴィスコンティがボウイのプロデュースをする傍ら、ティラノザウルス・レックスのプロデュースも手掛けていたことから実現したのだが、その共演で刺激を受けたボウイがエレクトリックを取り入れたというのが真実なようだ。

こからボウイはライヴ用のバンドを作るべく人選に入った。【プリティエスト・スター】でセッションに参加したトニー・ヴィスコンティとジョン・ケンブリッジ(ds)に加え、新たなギタリストとしてミック・ロンソンを迎えた。この出会いがボウイのサウンドを劇的に変え、グラム・ロックという一つのカテゴリーを作る胎動となった。このバンドはハイプと名付けられたがほどなくしてジョン・ケンブリッジが脱退、そこへロンソンの口利きでドラムのミック・”ウッディー”・ウッドマンジーが加わり、後にグラム・ロック界を席巻したスパイダース・フロム・マーズの原形が作られた。

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上のような経緯を辿って作成された通算3枚目の本作『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』(邦題:世界を売った男)ボウイ、トニー・ヴィスコンティ、ミック・ロンソンという奇跡のトライアングルを生み出しサウンド面で鮮烈な印象を残すアルバムとなった。ボウイの刺激的な詩と曲の世界観にハイプのメンバー達が素晴らしい演奏で応える。あえて言えばデヴィッド・ボウイ一人の作品というよりはハイプとしてクレジットしても差し支えないほど、バンドとしての完成度の高い作品に仕上がっている。どの曲をとっても名曲揃いなのだが【円軌道の幅】、そしてライヴのようなバンド・サウンドとボウイのセクシー且つノリにノッテいるヴォーカルに聴きこたえがある【ブラック・カントリー・ロック】はボウイ初期のサウンドとしては傑作に値する。刺激的な詩という側面から見れば【ランニング・ガン・ブルース】はベトナム戦争に赴く兵士の心情を描写したものととらえることもできる。前記した曲を含めこのような激しいギターサウンドを核としてアルバムが構成されている。

作と比べ、よりロック色が色濃くなったのはこのアルバムから73年リリースの『ピンナップス』までボウイのサウンド面で盟友となるミック・ロンソンのギター・プレイを抜きには語れない。ほぼ全曲に亘って素晴らしいフレーズを聴かせてくれていて、ここでのロンソンのプレイはグラム・ロック期にリリースされたボウイのどのアルバムよりも弾けている。特にディスク1【円軌道の幅】では特筆すべきプレイを披露している。

ロデューサーとして名を馳せているトニー・ヴィスコンティは一流のベーシストであると認識できるのもこの作品の聴きどころだ。ワタシが好むベースの表現で「よくドライヴする~」と度々書いているが、彼のプレイはギターのリフを刻むようなベースラインと表現したくなる最高のプレイで、ディスク7【シー・シュック・ミー・コールド】のようにロンソンのギターと絡み合うと爆発的な相乗効果が生まれる。

の二人にドラムのミック・ウッドマンジー、セッション・プレイヤーのラルフ・メイスのシンセサイザーを取り入れたサウンドは正にグラム・ロック夜明け前だ。長年に亘って素晴らしいキャリアを誇ってきたボウイのアルバムの中で、一番、ロックしている作品と言って良いだろう。


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